1930年に起きた北伊豆地震は、丹那盆地の地下約160mで掘り進められていた丹那トンネル(現在の東海道本線、熱海~函南をつなぐトンネル)の工事現場をも直撃しました。工事現場が断層付近に到達したところで大量の湧水があったため、地震当時は水抜きのための副トンネルが掘られていました。この副トンネルを南北に走る断層が横切り、2mあまりの食い違いが生じました。北伊豆地震による断層のずれは、近くの
断層公園や
火雷神社に保存されています。
16年にわたる難工事の末にトンネルは開通しましたが、この工事によって大量の地下水がトンネル内に抜けてしまい、丹那地方は渇水に見舞われてしまいました。丹那では、酪農のほか、豊富な水を使った稲作やワサビ栽培などを行っていましたが、当時の鉄道省から渇水に対する補償をうけ、酪農に転換し、今では伊豆でも有数の酪農地帯となっています。
こうした地質と地域社会との共存の歴史もジオパークの大きなテーマのひとつで、ここオラッチェでは、こうした歴史を持つ丹那の酪農製品の販売や、ソフトクリームづくりなどの体験を楽しむことができます。
また、敷地内からは、丹那断層がつくった谷の地形などを観察することができます。