苔むした溶岩が分布する火口の周辺には、ブナの原生林が広がります。
5月から6月には固有種のアマギシャクナゲの薄桃色の花が見られ、秋には紅葉が美しく彩ります。
「カワゴ平(皮子平)」と呼ばれる平坦地は、約3200年前に起きた、
伊豆東部火山群の中でも最大規模の噴火の火口です。
この噴火による火山灰は遠く、琵琶湖の近くでも見つかっており、一連の噴火の中で火砕流も噴出しました。
さらに噴火の最後には軽石質の溶岩が流れ出し、隙間の多いこの溶岩が大量の地下水を涵養(かんよう)しています。
カワゴ平は、爆発的な噴火によってできた巨大な火口を持つ凹地で、7億6000万トンものマグマを噴出しました。
この火山噴火は粘り気の強い流紋岩質マグマの噴出や火砕流の発生など、伊豆東部火山群においてそれまでに無かった特徴を持った噴火でした。
この噴火で噴出した軽石質の溶岩は、軽さや耐熱性から天城抗火石と呼ばれ古くから建材などに利用されてきました。
また、火砕流堆積物の中には火砕流に巻き込まれた巨木が丸ごと含まれていることもあり、天城神代杉・神代ヒノキと呼ばれ重宝されました。神代杉は、標本として伊豆市上白岩にある
伊豆市資料館や、同市湯ヶ島の昭和の森会館で見学することができます。