伊豆市下白岩の石灰質砂岩には、
レピドシクリナという大型有孔虫化石をはじめ、海洋性の生物化石が大量に含まれています。この化石は、この地層がたまった場所が、約1100万年前の南洋であることを示す証拠となっています。
レピドシクリナという生物は熱帯や亜熱帯の暖かい海に棲む生物です。日本周辺が今よりも暖かかった約1,600万年前には日本全国に生息していましたが、その後の寒冷化に伴い、日本周辺からは居なくなってしまいました。ところが、伊豆半島では、約1,100万年前の地層の中からレピドシクリナの化石が見つかっており、地学の世界ではナゾになっていました。
このナゾに答えをあたえたのが「プレートテクトニクス」の考え方です。
日本周辺がレピドシクリナが生息するには寒かった、約1,100万年前に、伊豆は南洋の暖かい海に位置し、そこでレピドシクリナが含まれる地層ができました。その後、プレートの運動にともなって北上して日本に衝突したため、伊豆でのみ化石がみつかったのだ、というものです。
学術的に大変貴重なこの石灰質砂岩は、「下白岩のレピドサイクリナ化石産地」として県指定天然記念物にも登録されています。
※この地点からの化石採取は禁じられています。
近くにある
伊豆市資料館には、採取された化石が展示されています。