石廊崎(いろうざき)に一面にひろがるごつごつした岩は、海底に噴出した溶岩流です。
溶岩が水中に噴出すると、水によって急激に冷やされ、ばりばりに砕けた岩片の集合になります。
熱いお湯を入れておいたコップを、冷水に入れると割れてしまう現象に似ています。
海底火山の大規模な噴火で大量の溶岩が海底に流れ広がった様子を想像してみてください。
石廊崎の崖には蜂の巣のようにたくさんの窪みがあり、石室(いろう)神社はこの窪みを利用して作られています。
これらの窪みは「タフォニ」と呼ばれ、水に溶けていた塩が、水分の蒸発にともなって結晶になり、その結晶の成長によって岩石が壊されてできると考えられています。
石廊崎の沖は古くから難所でした。昔、江戸へ向かう商船が沖合で大波にあい、石廊権現に「帆柱を捧げるので波をおさめてください」と頼み、無事に江戸に到着できたという言い伝えがあります。
この帆柱は断崖に建つ石室神社の社殿に、今も使われています。石廊崎港からは遊覧船も出ています。