柿田川の湧水地は
柿田川公園として整備されています。
約1万年前の富士山の噴火で流れ出した三島溶岩は、愛鷹山と箱根に挟まれた谷を流れ下り、柿田川付近にまで達しました。亀裂やすき間の多い溶岩流の中を流れてきた地下水は、清水町~三島市の広い範囲に豊かな湧水群を形成しています。
柿田川はこの湧水群の中でももっとも規模の大きな湧水で、公園内のいたるところで湧水の湧き口「湧き間」を観察できます。「湧き間」をよく見ると、白い小石が湧き間に踊っている様子がわかります。この白い小石は、約3200年前の
カワゴ平(伊豆市)噴火の軽石で、地下にたまっていた軽石が地下水とともに巻き上げられているのです。
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豊富な湧き水がつくる河川は「湧水河川」と呼ばれます。
湧水河川の特徴はなんといっても安定した環境。年間を通して水温が15℃前後で推移する柿田川は夏に冷たく、冬に暖かく、他の河川とは異なるタイミングで様々な生き物の営みを見ることができます。また、水がきれいな柿田川では、川底の安定した環境に、ミシマバイカモやナガエミクリなど、今日では絶滅が心配される生き物が暮らしています。
富士山からの土石流がもたらした大きさ1-5cmの砂礫(小石)を使って、アユが産卵を行います。冬でも水温が暖かい柿田川では、通常1年で一生を終えるアユが冬を越すこともあります。