伊豆半島ジオパーク Izu Peninsula UNESCO Global Geopark

伊豆半島ジオパーク プレスリリース

DailyReport2

2015.06.09

伊豆半島ジオパーク
現地審査 DailyReport②(6 月 9 日)

現地審査初日の概要をお知らせします。

 

概要説明(8:30~10:15)

現地審査に先立ち、審査員の宿泊先である三養荘で現地審査の概要説明が行われた。伊豆ジオパーク推進協議会を代表してあいさつした菊地豊会長代行(伊豆市長)はジオパーク活動がユネスコの正式プログラムに昇格することが確実となったことを視野に、「ユネスコ憲章には平和への寄与が掲げられている。わたしたちはシオパークの活動を通じて平和に貢献したいと思っている」とあいさつした。次いで、ジオ協の小山真人(こやま・まさと)顧問、杉本仁(すぎもと・ひとし)事務局長らが伊豆半島ジオパークの概要や審査先のポイントなどを説明した。

 

下白岩(10:50~11:30)

小山顧問が露頭から温かい海にしか生息しない有孔虫の化石が見つかることを紹介。「伊豆半島がフィリピン海プレートとともに北上したことを示す貴重な証拠。ここからスタートする 3 日間の審査は、伊豆半島の歴史に沿って見ていただくことになる」と審査行程のストーリーを説明した。

ジン審査員はジオポイントを示す案内表示(サインパネル)に関心を示し、「どのような経緯で設置されたのか」と質問。事務局が「ビール製造会社からの寄付を基に 100 カ所のジオポイントに設置した」と答えると、同審査員は「企業にとっては知名度が上がる効果があるので、お互いの利益になる」と評価した。

シャフィーア審査員は「この土地の所有者はどこか」と質問。事務局は民有地であると回答した。

 

達磨山(12:00~12:30)

濃霧が立ち込めていて展望台からの景色が望めなかったため、鈴木雄介(すずき・ゆうすけ)専任研究員が写真パネルや解説看板を使って説明した。鈴木研究員は裾野が長く伸びている陸上火山の富士山、愛鷹山と、侵食によって急峻な山容となった海底火山の名残の鷲頭山、葛城山を比較して「伊豆では海底火山の名残と陸上火山の双方の地層が見られる」と伊豆半島ジオパークの特徴を解説。さらに伊豆半島が載っているフィリピン海プレートが本州側に潜り込んでいることから「駿河湾が日本で最も深い湾となっている」と説明し、周辺の地形が伊豆半島の衝突の影響を強く受けていることを示した。さらに 1939 年ニューヨーク万博に日本を代表する景色として、達磨山から撮影した写真が選ばれた史実を紹介、その写真の絵はがきを審査員にプレゼントした。

審査員からは「衝突したのは何万年前か」「伊豆半島ではどこでも陸上火山の溶岩が海底火山の上を覆っているのか」などの質問が出た。

 

箱根自然環境事務所の説明(13:05~13:20)

達磨山から一色に移動するバスの車内で、高橋啓介(たかはし・けいすけ)環境省箱根自然環境事務所長が国立公園とジオパークについて説明した。高橋氏は伊豆半島の 16%が富士箱根伊豆国立公園であることを挙げ、「伊豆半島が世界ジオパークに認定されることにより、国立公園の魅力もさらに向上する」との期待感を示した。さらに「環境省として、伊豆半島ジオパーク推進協議会と連携して、伊豆半島の地形・地質の保全や、それらの観光や教育への活用に、引き続き取り組んでいきたい」との考えを強調した。

 

黄金崎(14:15~14:30)

予定より早く行程が進んだため、当初予定に組み込まれていなかった黄金崎ジオサイトに立ち寄った。達磨山レストハウスではあいにく霧に包まれ景色を見ることができなかったが、黄金崎では熱水変質により黄金色になったこの地域独特の地層を目の当たりにし、審査員は展望台に上るなどして熱心に写真を撮っていた。整備した案内板を事務局スタッフが説明すると、二人の審査員からは、「富士山はここから見えるのか?」「黄金崎の意味は?」などの質問のほか、「詳しい地質年代を書き加えても良いのでは」など地質専門家らしいアドバイスも出ていた。

 

一色枕状溶岩(14:55~16:00)

松崎高校サイエンス部、次いで山本昭作(やまもと・しょうさく)一色枕状溶岩ジオサイト保全協議会長が説明した。松崎高校の山本健人君らは、枕状溶岩の地層が伊豆半島で最も古い 2000万年前に形成されたこと、枕状溶岩だけでなく棚田保全にも力を入れていること、ジオカルタや地形や地層を模したスイーツを使って小学生向けの教材に活用していることなどを報告。手作りのマスコットキャラクター、「まくよー」のバッジをプレゼントした。山本さんは、枕状溶岩が貴重な地域の資産であることを知って、保全協議会を立ち上げた経緯を紹介。住民や松崎高校生とともに、露頭の上の樹木の伐採、草取り、こけ剥ぎを続けていることを活動写真を見せながら説明、「これからも大切な地質遺産を保全して、地域の活性化を図り、訪れる皆さまを笑顔で迎えるおもてなしを行っていきたい」と結んだ。

シャフィーア審査員は高校生の活動に大変関心を示し、「これらの活動を他の仲間にもぜひ紹介してほしい。他のジオパークも含め総合的に学ぶと良い」とアドバイスしながら、最後に日本語で「かわいい」と高校生達の発表をにこやかに賞賛した。

 

堂ヶ島(16:20~17:30)

ジオガイドの仲田慶枝(なかた・よしえ)さんがビュースポット数カ所を案内した。堂ヶ島の絶景が火山灰堆積層、礫層、火山弾など海底火山によって形成されたことを説明。また水を張ったバケツに 2 種類の火山岩を入れて軽石が浮くという実験を披露した。一帯が過去に津波被害を受けていることにも触れ、東日本大震災以降、住民が津波避難のワークショップを開いていることを紹介した。ちょうど干潮で象島までトンボロが現れていたこともあり、「よく小中学生が遠足で訪れ、潮だまりで遊んでいる」と紹介、見る角度によってトンボロが現れたり消えたりするチェンジングカード(絵はがき)をプレゼントした。

ジン審査員からは「地層の状況からみると、海底火山の火口が近かったようだ。火口の位置は特定できているのか」との質問が出た。シャフィーア審査員は津波の話に興味を示し、スマトラ沖地震での経験を話した。

 

松崎 VC(17:40~18:00)

ジオガイドの佐野勇人(さの・はやと)さんが案内。佐野さんはサンゴやサザエの固有種の化石を前に「1,000万年前~1,500 万年前の亜熱帯を示す化石たちだ。伊豆が孤立した亜熱帯の島だったことを示す証だ」と解説。次いで 500 万年前~300 万年前の木や貝の化石を前に「本州から出る化石と同じものが出る。伊豆が孤立した島から、日本の本州につながる半島になった証拠」と、化石を通じて伊豆半島の成り立ちを解説。

「展示している貴重な化石は、町民が持ち寄ったもので、町民全員の誇りとして、貴重な自然の遺産を共有している」と結んだ。

審査員からは「化石採取に関する法的規制はどうなっているか。法規制がないのであれば、むやみな採取を規制するガイドラインが必要でないか」との指摘が出された。

以上

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