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南の海で産まれたたくさんの火山島が、フィリピン海プレートに乗ってやってきました。島々は寄り集まり、やがて本州に衝突し、伊豆半島をつくりました。 このトレイルは、「4つのプレート」を一望できる十国峠と、ここが火山の土地であることを鮮やかに伝える走り湯を結んでいます。伊豆半島と箱根や富士を結ぶ大きな回廊の一部でもあります。そして、かつてこの地に栄えた修験道の聖地でもあります。 いにしえの巡礼者たちに思いをはせながら、坂の町熱海の絶景を味わいながら、今なお神秘的な信仰の路を歩いてみませんか?
伊豆山には、地中に龍がいて、尾が箱根の芦ノ湖に、口が走り湯にあって温泉を出しているとの伝承があります。この信仰の路は、龍の背を辿る道なのです。
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- 走り湯

写真の図は、豆州熱海絵図〈1681(天和元)年〉です(静岡県立中央図書館蔵)。
江戸時代前期の熱海を描いた現存する最古の絵図。走り湯と湯屋、役行者(堂)などの位置関係が確認できます。
海岸近くの洞窟から熱泉が走るように湧出する特異な現象に畏敬の念を抱いたことが走り湯信仰のはじまりとされ、平安時代の終わり頃にはすでに著名な霊験所の一つに数えられていました。伊豆山を含む伊豆半島の山岳地域は修験道の修行場となり、走り湯は山伏が山へ入る前に沐浴をおこなう重要な場所でした。
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- 伊豆山神社

写真の図は、国土交通省沼津河川国道事務所提供の赤色立体地図を加工し、國學院大學深澤太郎教授作成の比定図を重ね合わせたもの。
19世紀まで、伊豆山は、仏教と神道が混じりあって産まれた山岳信仰である修験道の中心地で、伊豆半島を一周する「伊豆遍路」という巡礼路の起点でもありました。 伊豆山から連なる「龍の背」にあたる地域は、デイサイトと呼ばれる粘り気の強い溶岩が地盤をつくっています。デイサイトが分布する範囲は周囲より高く盛り上がった地形をしており、僧房をはじめとした宗教施設の多くがこのデイサイトの上に建てられていました。
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- 末代上人が結ぶ伊豆と富士

日本のシンボルでもある富士山は、世界文化遺産の一つです。富士山に世界文化遺産としての価値を与えているのが山岳信仰です。歴史的な記録や伝説によれば、富士山が信仰の山となった起源は、12世紀に伊豆山の僧、末代が富士山に登り、大日堂を建てたことだとされています。
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- 日金山が結ぶ伊豆と箱根

日金山は、かつて死者の魂が集まる場所といわれていました。仏教の地獄を象徴する閻魔大王の像が置かれているのも、その名残です。日金山や岩戸山は箱根火山の外輪山にあたり、その地質は箱根火山の初期に活動した溶岩や火砕岩からなります。箱根から龍の背を伝って伊豆半島へ下りましょう。
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- 十国峠

十国峠からは、伊豆・相模・駿河・遠江・甲斐・安房・上総・下総・武蔵・信濃の十国を見渡すことができますが、それだけでなく、地球の表面を覆う「プレート」のうち4つのプレートや、火山が長い時間をかけて作り出した地形を一望できます。眼下に見える駿河湾は、伊豆半島を含むフィリピン海プレートが、本州の下に沈み込んでいる場所で、この湾の向こう側はユーラシアプレートです。晴れた日には、伊豆と本州の衝突に伴って隆起した南アルプスの山々を遠くに望むこともできます。
十国峠からの景色は、伊豆と本州の衝突という大事件を私たちに物語っているのです。
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