2021.07.07
伊豆半島ジオパーク推進協議会
本州の南海上に停滞していた梅雨前線は7月に入って北上し、西日本から東日本にかけての広い範囲で大雨をもたらしました。2日からは静岡県・神奈川県をはじめとした地域で記録的な豪雨(網代観測所における3日午後2時半までの48時間降水量が320.5ミリ;同所での7月の観測史上最大)となり、3日午前には熱海市伊豆山地区を襲う土石流が発生するなど、各地で水害や土砂災害が起こり大きな被害を受けました。現地では現在(7月7日時点)も自衛隊や警察、地元の消防団等による捜索・救助活動が続けられている状況で、災害状況の把握よりも人命救助が優先されている状況です。この度被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早く元の生活を取り戻せますように祈念いたします。
伊豆半島ジオパーク推進協議会では、日本ジオパークネットワーク災害対応方針に基づき、各機関からの災害・被害状況を速報としてお知らせいたします。また、この機会に合わせて平時における備えや被災者支援に関する情報を提供いたします。なお、掲載されている情報は随時更新される可能性がありますので、ご了承ください。
<伊豆山地域周辺の地質と土石流の流路>
今回の土石流災害が発生した地域の地質は5万分の1地質図幅「熱海」にまとめられています。
土石流の流下域周辺の地質は、約70~40万年前の火砕岩*1を挟む溶岩である熱海火山噴出物(At;オレンジ色)、約40~30万年前の火砕岩を挟む溶岩である箱根火山群湯河原火山噴出物の城山溶岩類(Sy;緑色)で構成されています。
また、谷沿いや緩斜面には、それら火山噴出物を覆うように、古い土石流堆積物や崖錐(がいすい)*2を主体とする斜面堆積物(Sd)が分布しています。
このことから、今回土石流災害が発生した地域は、過去にも土石流が発生していた場所であり、今後も同様の災害が起こる可能性があることが想像されます。
*1火砕岩:火山から噴出されたもののうち、溶岩以外のもの(火山灰や火山礫、火山岩塊のほか、軽石やスコリア、火山弾など)が堆積して固まった岩石のこと。
*2崖錐:がけや急斜面の下に、落下した岩石片や土砂が堆積してできた地形のこと。
引用:地質調査総合センター「2021年7月3日熱海市伊豆山の土石流災害地域周辺の地質」https://www.gsj.jp/hazards/landslide/20210703-disaster.html
<国等の機関による災害関連情報>
https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/R3_0701_heavyrain.html
https://www.mlit.go.jp/saigai/saigai_210703.html
https://www.jma.go.jp/jma/index.html
<熱海市の災害関連情報>
https://www.city.atami.lg.jp/kurashi/bousai/1000598/index.html
<平時の備えとして>
http://www.pref.shizuoka.jp/bousai/e-quakes/shiraberu/higai/saigaishi/index.html