伊豆半島ジオパーク Izu Peninsula UNESCO Global Geopark

新着情報

令和元年度 伊豆半島ジオパーク学術研究助成 研究結果

2020.03.13

下田地域の鮮新統白浜層群の化石底生動物相に見られる生態遷移-海底火山が育む種多様性-

延原尊美(静岡大学)、椎野勇太(新潟大学)

下田地域の白浜層群は、伊豆地塊が本州南方の海底火山島であった約400万年前に浅海域で堆積した火山噴出物よりなる。本研究では、板戸~白浜海岸のルートを中心に岩相および大型底生生物化石相を調査し、溶岩流入後の浅海底における生態遷移を明らかにした。その結果、溶岩流入によって形成された岩礁底では貝類・腕足類ともに種多様性に富むが、岩礁底の凸凹が貝殻片等の生砕物粒子で埋積され石灰藻等によって被覆された単調な底質へ変化すると、それに適応した多様性の低い生物相に変化することが明らかにされた。火山活動による溶岩形成は、そのような単調な底質をリセットし再び生物多様性の高い岩礁底を作り出すことにもつながると考えられる。

井田、明神池堆積物にみる過去1,000年間の自然災害履歴の復元

香月興太・瀬戸浩二(島根大学)、山田和芳・菅原大助(ふじのくに地球環境史ミュージアム)

2019年7月、伊豆半島北東部に位置する井田、明神池の湖底から2本の柱状堆積物を採取した。明神池は湖底直下の数十センチは1990年以降に堆積した層であり、その下部に堆積物の組成が大きく異なる18-19世紀の間に堆積した層があった。本研究では堆積物の物性・粒度・CNS含有量に加えて、産出する珪藻遺骸を分析した。この下部層は硫黄含有率こそ低いものの含砂率の高い層準を複数含んでおり、海生珪藻の産出が認められた。18-19世紀に伊豆を襲った宝永・安政東海地震津波をシミュレーションで再現したところ、安政東海地震の際は津波が西部の浜堤を迂回して北側の井田の田園から明神池に流入したことから、この層は安政東海地震によるイベント堆積物である可能性がある。

伊豆半島周縁に生息するスナイトゴカイの多様性と分散機構の解明

波々伯部夏美(北海道大学大学院理学院)、自見直人(国立極地研究所)

 海岸の砂の隙間には,体長が~数 mm サイズの間隙性生物が生息している.間隙性生物は,この隙間に含まれる間隙水の中で生活をしており,この微環境は「進化の実験場」とも呼ばれ生物の種多様性に富んでいる.本研究では,スナイトゴカイ属Stygocapitella という環形動物(ゴカイ・ミミズ・ヒルの仲間)を対象として,本属の伊豆半島周縁における遺伝的多様性を明らかにするとともに,本属以外の環形動物・扁形動物について種多様性を解明することを目的とした.2019 年 8 月及び 10 月に伊豆半島周縁の砂浜計 10 地点で採集調査を実施した.調査の結果,それまで国内での研究が乏しかったムカシゴカイ科(環形動物)及び陰吻類(扁形動物)について未記載種と思われる種を採集することができた.

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