伊豆半島ジオパーク Izu Peninsula UNESCO Global Geopark

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平成30年度 伊豆半島ジオパーク学術研究助成 研究結果

2019.03.14

高等学校の「課題研究」と結びつけた伊豆半島周辺の地質調査および植生調査の研究

静岡県立韮山高校 渡邉充司

伊豆半島を題材にした課題研究を3班に分かれて実施した。地学1班「火山灰を含む地層の花粉分析に基づく植生変異及び噴火年代の研究」、地学2班「ドローンによる高精度3Dモデルを用いた柱状節理形態の統計的分析とその成因に関する研究」、地学3班「古狩野湾の復元」のテーマでそれぞれ行った。1班は花粉の化石の種類から、伊豆半島の噴火年代による花粉化石の変化を示し、古環境の気温と関連性を考察した。2班は、柱状節理形態の統計的なデータを提示し、シュミレーションも行うことで、柱状節理形成の冷却と冷却速度について言及した。3班はウバメガシ林の分布と縄文時代の遺跡の位置から縄文海進の海岸線を裏付ける知見を報告した。

海岸植物スカシユリの系統地理学:伊豆半島のスカシユリはいつ、どこから侵入し、定着したのか?

千葉科学大学危機管理学部 糟谷大河

本研究では、伊豆半島のスカシユリ集団の遺伝的多様性および他地域の集団との系統関係を解明し、伊豆半島にいつ、どこからスカシユリが侵入したのかを推定することを目的とした。2018年6月~2019年1月、伊豆半島を含む本州各地で野外調査を行い、スカシユリの葉や鱗茎を採取した。それらからDNAを抽出し、Mig-seq(multiplexed ISSR genotyping by sequencing)法を用いて遺伝的多様性や系統関係を解析した。
系統解析の結果、スカシユリは東北地方の集団が祖先的であり、東北地方から関東地方へ南下したことが明らかになった。そして、茨城県、房総半島西部から三浦半島にかけて急速に分布拡大した後、伊豆半島に侵入したことが示された。また、東北地方と関東地方以南の集団は遺伝的に分化しており、両者の分岐時期は比較的古いことが推察される。一方、関東、伊豆半島から御前崎にかけてのスカシユリ集団では、風などによる種子分散に伴い遺伝的な交流が生じている可能性が示唆された。

伊豆半島の深海、および浅海の沿岸域の動物相調査

筑波大学下田臨海実験センター 中野裕昭

本研究は、伊豆半島周辺の沿岸域(水深数m-700m程度)に生息する、大きさ数cmの動物種を調べることが目的である。
手法としては、筑波大学下田臨海実験センターの調査船つくばIIによる底生生物の調査、およびセンター近辺の沿岸域での潜水による採取を行った。採取した動物の実験室内での飼育や発生過程の観察も行い、また、採取個体の標本作成も実施した。
その結果、多くの動物種が採取された。例として、これまで2個体しか報告されていない珍渦虫 X. japonica が複数個体採取された。また、未記載種や日本であまり報告されていない種であると考えられる無腸動物や有櫛動物が採取された。今後も得られた標本の解析を進めていく予定である。

全方位ミュオグラフィによる大室山内部構造の3次元イメージ化に向けたテスト観測

東京大学地震研究所 宮本成悟

 宇宙船の中でも素粒子の一種で高い物質貫通力を持つミュオンを用いることで、火山のような巨大な物体の内部を透視できる。原理はX線レントゲン撮影と似ており、物質内でのミュオンの減衰が内部密度構造によって異なることを利用する。今回、静岡県伊東市に位置する大室山スコリア丘の大雑把な内部構造の観測を試みた。具体的には、山体の北北東、西、南南東に小型のミュオン観測試験器を設置し、三方向から2か月間に渡って宇宙線を観測した。その結果、クレーターリム西側に他の山体部分よりも高い密度領域が検出されました。古谷野らの論文(火山、1995)に記されているような、噴火終盤におけるクレーター内の溶岩湖形成イベントと関連がある可能性がある。今後は観測方向数を増やし、より精密な内部構造を明らかにしてゆく予定である。

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