テングサとは、煮出してゼリー状の寒天質を抽出できる海藻の総称です。伊豆半島では「マクサ」が主流で、全生産の60%以上を占めています。
伊豆半島はテングサの一大産地で、そのうえ高級品が採れるのです。西伊豆は一大産地のひとつです。
生育に適した自然環境が整っていることに加え、採取から出荷まで丁寧な手作業による選別作業が行われていることが高品質の秘密。
出荷されたテングサはところてん、寒天などに加工されるほか、羊かんなど和菓子の材料にもなって日本の食文化を支えています。
高品質のわけー良好な生育環境
テングサは暖かく浅い海に生息します。伊豆半島の沿岸は暖流の黒潮が流れ、生育に適した水温です。さらに、日射が透過する水深30mまでの浅い海底で、大石に着生して成長するのです。こうした海の環境条件に加え、海の背後の陸地には自然の樹林が広がり、窒素やリンなどの栄養分が海に絶えず供給されて、寒天質の「のり」を多く含む肉厚のテングサが成長するのです。
高品質のわけー丁寧な手作業
伊豆半島のテングサ漁は春から夏にかけて、潜水や素潜りで採取します。採りすぎないための工夫です。水揚げされたテングサは淡水で塩抜きをし、浜辺で天日干しにします。この作業を繰り返すと、赤かったテングサは白くなります。また合間には手間暇かけて砂やほかの海藻を取り除き、純度を高めています。
テングサ漁
テングサの天日干し
さらされて白くなったテングサ
多彩な活用
テングサを煮出すとゼリー状の寒天質が抽出されます。この寒天質をさらにこして冷ますと、「ところてん」です。ところてんを凍らせて陽にあてると水分が抜けてさらに脱色が進み、寒天になります。和菓子の代表、ようかんもテングサから作ります。
ミネラル分やビタミン、食物繊維を多く含み、そのうえほとんどカロリーがないので、健康食品としての将来性も大きいのです。
寒天
ところてん
ようかん