第 7 回日本ジオパーク全国大会伊豆半島大会は 11 日、大会宣言を採択しました。宣言全文は次の通りです。
伊豆半島宣言
伊豆半島は、フィリピン海プレートとともに北上し、本州に衝突して誕生した。この衝突は、南アルプスを隆起させ、日本の中央部の地質を大きく曲げることとなった。変動帯に位置する日本の大地は、世界中のどの場所よりも、互いに影響を及ぼしながら、活発に動いている。このような日本の大地の仕組みを理解する我々ジオパークに関わる者も、互いに刺激し合い、影響を与えながら、新たな歴史を作り、未来を生み出していく。
我々は、この伊豆半島の地において、さらなるネットワークの強化と革新に向け、ジオパークの未来を見据えて議論を行い、以下の通り確認した。
- 行政・学者・地域住民・企業など多くの関係者は、ジオサイトをモニタリングして重層的な価値を認識・可視化し、協働によって保全と開発と生活のジレンマの最小化を図る
- ジオ・エコ・ひとのつながりはジオパークの ESD の根幹であることを認識し,今回の議論を通じて,ユネスコが推進する ESD をジオパーク版 ESD として展開する第一歩を踏み出した。
- 2016 年は次々に災害が日本列島を襲い、被災したジオパークは活動停止状態ともなった。被災ジオパークの活動を支援するため、情報収集を行うリエゾンや活動支援金の導入などを盛り込んだ JGN の支援ガイドラインが必要である。
- ガイド養成の理念と手法を共有し、地球を語るために必要なスキルを身につけ、持続可能な仕組みとするためにビジネスとしてのジオツアーを確立させることを目指す。
- ジオパークはすべての人のものである。そこにはユニバーサルデザインが必要であり,様々な人の連携が求められる.各地の経験や挑戦をネットワークで共有することで,ジオパークそのものがユニバーサルデザイン化される。
- ジオパーク活動に取り組む理由は各地域で異なることを共有し,ジオツーリズムはジオパークにおける地域振興の重要な要素の一つであることから、地域経済の発展に寄与するツアーをJGN 全体として考えるための第一歩とした。
- ジオカフェでのたくさんの会話のなかで,地域でやっていることがジオパークにつながっていることを実感し,まずはおもいおもいの一歩を踏み出すことを確認した。
- ジオパークの基礎を学びながら,参加者同士の経験の共有の中で,ジオパークの活動は,自分で考え,世界を変えるものであることを確認した。
- 東南アジアのジオパークを目指す地域からの参加者を交えた英語によるセッションで,互いの相違点や類似点を見出し,相互の学び合いの第一歩を踏み出すことができた。
- ジオストーリーは、地学的現象およびプロセスとそれら以外の要素を組み合わせることによって作られる物語であり、地域に新たな価値をもたらすものである。
- 各地のジオパーク活動を支える48人の市町村長は、多様な課題に向き合う自治体としてジオパークを選択している意義を改めて共有した。ユネスコ正式プログラム化の意味も踏まえ、JGNの仲間と連携し、持続可能な地域社会づくりを進める。
以上、ここに宣言する。
平成 28 年 10 月 11 日
日本ジオパーク伊豆半島大会実行委員会 実行委員長 菊地豊