2015.06.10
現地審査 2 日目の概要をお知らせします。
審査員は、ジオガイドの武田仁志(たけだ・まさし)さん、寺島春菜(てらしま・はるな)さんの案内で、岩地港から中木港まで洋上から南伊豆海岸の断崖を視察した。武田さんはシーカヤックで日本を一周した経験から「日本で一番素敵な海岸線です」とアピール。さらに「沈降した海食洞が数多く存在する」と、西海岸が有数のダイビングスポットになっていることを説明した。
クルーズは、いったん松崎港から出航したが、にわかに発生した霧のため、同港に引き返し、隣の岩地港から再度乗船するというハプニングがあった。
審査員は波勝崎近くの「赤壁」と呼ばれる高さ 270mの断崖の垂直に上昇したマグマの断崖や、中木港付近の柱状節理の構造などについて活発に質問するとともに、ダイナミックな洋上からの風景をカメラに収めた。また、陸上火山と海底火山の痕跡を同時に確認できるこのエリアを、海上からしか見ることができないことについて、だれでも見て触れることができるよう陸上からのアクセスが整備されるようアドバイスした。
審査員はあいあい岬の先端で南伊豆海岸の景色を楽しんだ後、VC へ。村田順二(むらた・じゅんじ)センター長が施設概要を説明。ジオガイドの高橋洋子(たかはし・ようこ)さんが VC 訪問客への対応ぶりや、ヒジキ、テングサなどの販売コーナーを案内した。さらにジオガシ旅行団の鈴木美智子(すずき・みちこ)代表が柱状節理やスコリアなどの地形、地層を模したジオ菓子を渡して「楽しみながらジオを学びたい。まだまだお菓子にしたいものがたくさんある」と説明、審査員にジオ菓子とシオソフトクリームを提供した。
シャフィーア審査員は「外国人はどのくらい訪れるのか。外国人からすれば、岩石だけでなく生物多様性が見られる面白いところだ」との指摘があった。
ジオガイドの土屋仁志(つちや・ひとし)さんの案内で、ペリー艦隊来航記念碑から了仙寺まで散策した。土屋さんは下田が過去 450 年間に 9 回の津波に襲われ、特に 1854 年の安政大地震でロシア船「ディアナ号」が津波によって被災しながらも、下田の被災者を助けた史話を披露した。旧澤村邸では伊豆石を使った蔵を見学。了仙寺では本堂の柱に、津波で流された船による衝突痕を見せ、「下田の歴史にはジオのつながりがある」と締めた。
シャフィーア審査員は「これらの史実は何かに書かれているのか」と質問した。土屋さんは「図書館に歴史関係の資料があるので調べることができる。下田の小学校の教材にもなっている」と答えた。伊豆石を使った建物の前では、審査員は実際に手で触って石材を確認していた。
ジオガイドの土屋光示(つちや・こうじ)さんは普段のガイドで使っているスケッチブックに描いたイラストや写真を駆使して審査員を案内した。土屋さんは、河津七滝が伊豆東部火山群の一つ「登り尾南火山」の溶岩流が作り出したことや、釜滝など各所に見られる柱状節理のでき方を説明。また地元観光協会が七滝の水をペットボトルにして販売していることを紹介した。さらに、小野英樹(おの・ひでき)河津町産業振興係長がVC の概要について説明した。
審査員は、新緑鮮やかな渓流沿いの遊歩道を、上流から VC へ向けて、それぞれ特徴のある滝を見ながら、滝の成り立ちや、滝の高さなど河津七滝ジオサイト全体の構成などについて質問した。伊豆の踊り子像のある初景滝では、ジン審査員が「『伊豆の踊り子』は中国でも知られている」と述べるなど、和やかな雰囲気だった。
以上