半島の沖を黒潮が流れる伊豆半島は、いにしえよりカツオやサバなどの回遊魚に恵まれた良質な漁場です。かつてカツオが豊富に獲れた西伊豆町田子では、古くから「潮かつお」というカツオの保存食が作られてきました。塩漬けにしたカツオを冬の風にさらして乾燥させて作る製法です。保存料も乾燥機も使わない、伝統を守り続けています。
奈良時代の733年に田子から税金の「租庸調」の「調」として「荒堅魚(あらかつお)」を平城京に納めたという木簡の記録があり、これが潮かつおだとみられています。江戸時代にはかつお節の製法が伝わり、「田子節」として鰹本枯節の三大産地となりましたが、今日に至るまで潮かつおはこの地に根づく固有の伝統食です。
漁師の航海の安全と豊漁を祈り、潮かつおを藁で飾り付け玄関や神社にお供えする習慣が受け継がれています。「潮かつお」が「正月魚(しょうがつよ)」にも通じることから田子地区では縁起物でもあります。
前処理
仕入れたカツオ1匹1匹、腹に包丁を入れ、内臓を取り出し、よく洗います。(11月中旬)
塩漬け
竹ヘラも使って、カツオの中、外ともに大量の塩をすり込みます。
(11月中旬)
寝かせ
冷暗所で10日ほど寝かせます。
(11月下旬)
風乾
すり込んだ塩を洗い流し、
形を整えて、屋外で干します。
(11月下旬)
飾り付け
3週間ほど干してから、藁で正月用の飾りつけをして完成です。
(12月20日ころ)
地域の食べ方
縁起物としてお正月に食べられますが、地域ではお茶漬けやうどんとともに日常的にも食されます。
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