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2025年10月25日(土)
環境
「清流に育つアマゴを訪ねて」
当日レポート
- 場所
- 下山養魚場
下山養魚場のアマゴは「紅姫あまご」という、この養魚場だけで育てられる特別な品種で、卵から成魚まで育つ割合はわずか20%と低く、「儲からない魚」と言われるほど養殖が難しい魚です。養殖池の水は天城山系の湧水で、同じ敷地内で栽培しているわさび田の水をほぼ100%使用しており、臭みのないおいしい魚になるそうです。アマゴを見ようと養殖池をのぞくと、群れが一斉に逃げてしまいました。アマゴは人を嫌う性質があるため、エサやりの際は逃げた方向へ投げ入れるそうです。養殖池にいるアマゴの数を当てるクイズをしたところ、正解はなんと4万匹!参加者から驚きの声があがりました。
養魚池の隣には緑鮮やかなわさび田が広がります。天城の水を使うと肥料なしでもわさびがよく育つそうです。そのわさび田の中に黒い樽が置かれていました。なんと、その中には「うなぎ」がいました。わさび田の水でアマゴを育てると臭みがなくなる原理を応用し、わさび田の水で泥抜きをする「山葵うなぎ」が誕生したそうです。また伊豆に来たらぜひ食べてみたい!
この時期アマゴはちょうど産卵期。ということで、卵の採取と採れたて卵の試食体験もさせていただきました。養殖池から取り出したアマゴを気絶させ、装置に入れて手でお腹を押すと、ツヤツヤの黄色い卵が次々に出てきます。多いものでは一匹から約3000粒も採取できるそうで、「黄金いくら」と呼ばれるこの卵は120gで3000円以上の高級品です。採れたての卵を塩水で洗い、その場で試食しました。プチプチとした食感と弾力、臭みのない味わいに参加者は感動。とても贅沢な体験でした。
養魚場を後にし、生産者直営店「あまご茶屋」で「紅姫あまごの漬け丼」をいただきました。鮮やかな色合いで、身に脂がのっていてとてもおいしい!卵のプチプチ食感も楽しみながら、皆さん完食しました。お腹がいっぱいになったところで、次の目的地「旭滝」へ向かいます。
旭滝はジオサイトの一つで、ジオガイドさんが案内してくれました。旭滝は、水源となる池が約1キロ先にあるため、水量がほかの滝に比べて少なめです。特徴的なのは、水が流れる岩肌の不思議な形。まるで石が積み重なったように見えますが、これは「柱状節理」と呼ばれる現象によるものです。マグマが冷える過程で収縮し、六角柱の形が形成された結果、この独特な岩肌が生まれました。滝の近くまで上がっていくと、手が届きそうな距離で柱状節理をじっくり観察できます。岩肌の造形美や流れる水の音に癒されました。
最後の目的地は、伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」です。ここでは、水理模型を使って、石、砂利砂、泥が水の流れによって運ばれ、侵食・運搬・堆積を繰り返しながら長い年月をかけて川の形が変わっていく様子を観察しました。模型の中での10秒は、実際は約500年に相当します。人間の一生はわずか1.2秒に換算されると聞き、自然のスケールの大きさに驚きました。水理模型の実験は自然の流れに任せるため、毎回異なる様子が見られます。今回は、5回に1回ほどしか起きない 「河川争奪(かせんそうだつ)」という珍しい現象に出会うことができました。
今回のジオぱくは、アマゴ養魚場見学と漬け丼の実食、旭滝やジオリアの見学と盛りだくさんの一日で、伊豆の自然と食の魅力を存分に味わっていただきました。今後も「ジオぱく」ならではの体験をお届けしていきますので、ぜひご参加ください。
オーナーの下山さんが養魚場を案内してくれました。
アマゴの体の表面はうっすらピンク色に見えます。
中央の黒い樽の中には「山葵うなぎ」が入っています。
卵を採取しました。初めての体験でドキドキ。

「なかなか食べられないから、たくさん盛って食べて!」 と下山さん。

アマゴの漬け丼、とってもおいしかった!

石が積まれたような旭滝の岩肌。
ジオリアの水利模型で川の成り立ちを学びました。最後には、蛇行した川が完成!